8月10日、麻生外相とシーファー駐日米大使の署名により「日米軍事秘密一般保全協定」(GSOMIA)の締結が強行された。5月1日の日米安保協議委員会(2プラス2)で「合意」されていたものだが、驚くべきことに協定の国会承認すら必要ないという。集団的自衛権の行使と共同軍事作戦の実行を前提とし、現行憲法下では締結不可能なはずの「違憲協定」が、国会の関与すらないままにあっさりと締結されていいはずがない。 今回のGSOMIA締結に際して、政府は当面は新たな罰則法令を定めないとしているが、米側から新たな秘密保護法整備の圧力が高まることは必至であり、政府・自民党内部での検討作業も始まっている。また、外務省はさっそく10日に「情報防護対策室」を新設し「防諜機能の強化」(麻生外相)をアピールした。「知る権利」の更なる後退は「軍の暴走」の余地拡大を意味する。 国会議員は、立法府を完全に無視したGSOMIA締結の違憲性と危険 性を大きな声で告発すべきであろう。 さる7月19日、防衛省技術研究本部が「米防衛産業協会」から「07年度特別業績賞」を贈られた。イージス艦搭載ミサイル防衛(MD)用の誘導弾に関する技術開発が対象となり、米国以外の研究開発機関の受賞は初めてだという。GSOMIAの締結は、MDに象徴される日米軍事研究・開発の一体化とも連動している。GSOMIAの既成事実化を認めることはできない。(2007年8月15日) ■参考:【声明】日米軍事同盟をブラックボックス化し、共同軍事作戦に道を開くGSOMIA締結に反対する(2007年5月3日) → http://www.geocities.jp/nomd_campaign/gsomia2007.html この声明の時点では、当然協定の締結には国会承認が必要となると考えていました。不明をお詫びします。 ■参考:「米防衛産業協会 BMD開発で技本に業績賞」(8月の朝雲ニュース、8月2日付) → http://www.asagumo-news.com/news/200708/070802/07080203.html ■参考:日米軍需産業と国防族が集結する「日米安保戦略会議」の第8回、第9回の報告(主な発言)が主催団体の一つである「安全保障議員協議会」のホームページにアップされていますのでご紹介します。 第10回は11月に東京で開催予定とのこと。 ◇第9回 日米安保戦略会議(07年5月1日、ヘリテージ財団) 額賀福志郎、前原誠司、他 → http://www.ja-nsrg.or.jp/f2007-9.htm ◇第8回 日米安保戦略会議(06年8月9日・10日、キャピトル東急) 石破茂、マービン・マクナマラ(ミサイル防衛庁副長官)、大古和雄(防衛庁防衛局長)、ウィリアム・コーエン(元国防長官)、久間章生、松本剛明(民主)、西岡喬(日本経団連副会長、三菱重工会長)葛西敬之(JR東海会長)、前原誠司、他 → http://www.ja-nsrg.or.jp/f2006-8.htm ■参考:『「改憲」の系譜〜9条と日米同盟の現場』(共同通信社憲法取材班、新潮社、2007年5月刊) ※共同通信で配信された大型憲法企画「非戦の回廊」と第2弾「この国の座標」に新たな取材を加え、再構成したもの。ミサイル防衛や日米安保戦略会議についても言及されている。
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