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【声明】危険な「金食い星」=偵察衛星はいらない!

〜宇宙の「非軍事」原則を投げ捨てる
「宇宙基本法」に反対する〜

 宇宙航空研究開発機構は2月24日、偵察(スパイ)衛星を搭載したH2Aロケット12号機を種子島宇宙センターから打ち上げた。偵察衛星は当初計画の4基体制となり、夏から本格運用を始める。これにより、地球の全ての地域を1日1回は監視できるとされる。
 軍事偵察衛星の保有が、日本が掲げる「宇宙の平和利用原則」に違反していることは明らかだ。1969年の「宇宙開発事業団法」制定の際の国会決議に基づく「平和利用原則」は、「平和」の中身を「非軍事」と定義した。政府は表向きは「多目的衛星」として、災害時も活用するとしているが、撮影画像は「軍事機密」を理由に一度も公開されていない。
 偵察衛星は「航空宇宙産業」=軍需産業にとって極めて美味しい利権の固まりである。4基体制を整えるのに投じられた金額は約5050億円。しかも衛星の寿命は5年とされるため、半永久的に巨額が投じられ続けることになる。偵察衛星本体を製造する三菱電機やH2Aロケットを製造する三菱重工にとってありがたい「ビッグ・ビジネス」だ。
 現在、与党による国会提出目前の「宇宙基本法案」は、平和原則違反を合法化し、軍事利用を加速させる。現在、法案成立を見越して、商用衛星並みの1メートルに制限されている解像度を向上させた後継衛星打ち上げが09年度にも予定されている。そして、防衛省が宇宙政策の管轄に初参入し、自衛隊が偵察衛星などの運用に当たることが予想される。
 偵察衛星は、日本が宇宙の軍拡レースに参入する先導=煽動役になりかねない。中国の衛星破壊実験を受けて、「偵察衛星に敵の攻撃を探知して回避または破壊[=宇宙兵器!]できる『自己防衛システム』を搭載させ、航空自衛隊を『宇宙航空自衛隊』に改編せよ」との主張(志方俊之、『世界週報』2月20日号)さえ登場している。偵察衛星はミサイル防衛(MD)の一角をも構成し、「敵基地先制攻撃」のための目の役割さえ担いかねない。
 ブッシュ政権は、2008会計年度予算教書において、敵の衛星攻撃兵器を地上からの上昇段階でたたき落とす宇宙配備の弾道ミサイル迎撃衛星の調査研究費(1000万ドル)を初計上した。宇宙の戦場化という悪夢が不気味にリアリティを増している現在、日本政府がなすべきは、「宇宙の平和利用原則」を投げ捨て、宇宙における日米軍事協力に道を開くことではない。平和原則はその輝きを増している。それは、日本が宇宙への兵器配備を禁止する新宇宙条約の締結と宇宙の脱軍事化に向けたイニシアチブを発揮するための資産である。
 偵察衛星ではなく軍縮交渉を。日本政府は宇宙軍拡を誘導するミサイル防衛から離脱し、偵察衛星を回収・廃棄せよ。三菱電機・三菱重工は偵察衛星開発から撤退し、軍需部門から手を引け。自公両党は宇宙の軍事利用に道を開く「宇宙基本法案」の国会提出を断念せよ。

2007年2月28日   核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
[連絡先]
 大田区西蒲田6-5-15-7
 (TEL・FAX)03-5711-6478
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【抗議先】
 ◇JAXA(広報部) [FAX]03-6266-6910
 ◇三菱重工     [FAX]03-6716-5800
 ◇三菱電機     [FAX]03-3218-2321
2007年3月3日(土)更新