[要請書]室蘭市長 新宮正志様

住民の生命と安全に責任を負う首長として
ミサイル防衛対応イージス艦「ラッセン」の
室蘭港寄港を拒否して下さい


 さる9月2日に米海軍横須賀基地に新規配備されたばかりのミサイル防衛対応イージス駆逐艦「ラッセン」が10月12日にも室蘭港に入港するとの報に接し、驚きと怒りを覚えています。

 米ブッシュ政権によるミサイル防衛(MD)計画は、イラク戦争に見られる先制攻撃戦略の一環として構想されています。それが「防衛」とは名ばかりの極めて挑発的かつ攻撃的なシステムであることは、多くの専門家が既に何度も指摘しています(『世界』2005年7月号、ブルース・ギャグノン氏の指摘をぜひ参照ください)。相手のミサイルを無力化する強力な「盾」を持つことは、核兵器をも含めた先制第一撃能力を万能にすることです。

 ブッシュ政権は、核戦力の主力と位置付ける潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」を搭載したオハイオ級戦略原子力潜水艦の太平洋地域への配備増強を進めています(10月5日、共同)。また、MD任務を担うイージス艦自体が先制攻撃兵器であるトマホーク巡航ミサイルを搭載している最強の攻撃艦です。

 既に米海軍は、奥尻島西方190kmに「ミサイル防衛作戦区域」を設定して、そこに集中的に滞在しながら監視・追跡訓練を行なっています。「矛」と「盾」を併せ持つイージス艦を、MDを口実に日本海に恒常的に展開させることは、中国や北朝鮮に対する最大級の威嚇に他なりません。

 今回の室蘭港への寄港が、こうした軍事作戦を円滑に展開するために、近隣の民間港を自由なアクセスポイントとして確保するその一環としてあることは明白です。

 港湾法が侵略戦争の反省に基づき、民間港湾の管理権を自治体に委ねていることはご存知の通りです。そのことは、自治体首長に住民の生命と安全こそ真っ先に尊重すべきという重大な責任を付与しています。実際にイージス艦はイラク戦争において侵略の第一撃を担っています。自治体が、そうした戦争犯罪艦の求めるがままにそのアクセスを保障することは、武力による威嚇と侵略準備への公然たる加担と言わざるを得ません。それはまた、相手国からの標的となることを受け入れることでもあるでしょう。住民は果たしてあなたにそれを白紙委任したとでも言うのでしょうか。

 強い口調となってしまいましたが、逆に言えば自治体こそが戦争の危険を減らす実効的なアクターとなり得るのであり、そのことに自信と誇りを持っていただきたいと思うのです。MDへの不参加を勇気を持って決断したカナダ政府とは対照的に、小泉政権はMD協力の最優等生として前のめりに突き進んでいます。それに具体的に歯止めをかけられるのは、市民と心ある自治体の連携の力なのです。実際に今まで少なからぬ自治体が米軍艦の寄港を拒否しています。ぜひ勇気を持ってそれらに続かれることを強く希望しています。

  2005年10月11日  核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2005
               [連絡先]東京都大田区西蒲田6-5-15原田荘7号
                (TEL・FAX)03-5711-6478



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