[ 声明 ]
「ミサイル防衛」という名の
   先制攻撃システムはいらない!

イージス艦の日本海配備に反対します

 ブッシュ政権は9月末以降、ミサイル防衛(MD)システム初期配備の一環として、6隻のイージス艦の日本海(東海)配備を開始しようとしています。そのうち3隻は横須賀基地を母港とするものです。これは、米軍再配置の一環であるとともに、日本列島を「MDの傘」に組み込み、東北アジアにMD網を構築する最初の大きな動きです。米日豪などのイージス防空艦隊が内海である日本海を不気味に徘徊するという将来シナリオの第一歩に他なりません。そもそもイージス艦が、トマホーク巡航ミサイルをはじめとする史上最強の攻撃力を備えた「矛」でもあることを想起する時、その前進配備が最大限の脅迫行為であることは明らかです。
 既に八月にはイージス巡洋艦「カウペンス」が、台風のため断念したものの新潟港寄港を図ろうとし、昨年12月のMD実験でSM3迎撃ミサイルを発射したイージス巡洋艦「レイクエリー」も、「岸壁が満杯」として県に断られたものの10月初頭の寄港を狙いました。常駐配備に向けた地ならしを図ろうとしたことは明白です。
 MDは「防衛」とは名ばかりの極めて攻撃的な兵器システムです。相手ミサイルを迎撃し無力化する「盾」が、「矛」の無制限な使用に道を開くことは必然です。米ブッシュ政権が国際法を無視した先制攻撃ドクトリンを採用し、実践している現在、MDは「先制攻撃促進装置」という危険な役割を担うのです。
 今や、米軍の先制攻撃兵器の中には、「使える核」としての小型核兵器さえもが含まれようとしています。日本政府が米軍のMD配備を容認し、自らもMD導入に踏み込むことは、自ら掲げる「核軍縮」の建前に公然と反するばかりか、イラク侵略戦争への加担の過ちを東北アジアでも繰り返すものに他なりません。それは、東北アジアに安全ではなく、緊張の激化と核・ミサイル軍拡の悪循環をもたらすものです。
 MDはさらに、憲法九条の理念を制度的に担保してきた諸原則を一気に崩壊させる強力なテコともなっています。情報共有と迎撃システム発動のためとして、最新のデータリンクシステムによる統合がなされるばかりか、イージス艦中枢の戦闘指揮システム自体の日米共同技術研究さえ行なわれようとしています。これらは、集団的自衛権の行使を前提にしたものです。
 そして、日米で共同開発したMD部品を米国、さらには第三国に移転するための障害になるとして、「国是」とされてきた武器輸出三原則がいとも簡単に投げ捨てられつつあります。MDを契機とした輸出解禁の先には、それ以外の兵器の国際共同開発や中古軍艦の売却などのシナリオさえ出来あがっています。
 「多層防衛」を掲げ、レーザー戦闘機や宇宙配備兵器の開発さえ進行させているMD構想は、国際法を踏みにじり宇宙の軍事化にさえ道を開く覇権主義に貫かれたものです。こうしたMDが、軍需産業にとっての「金の成る木」であることは言うまでもありません。MDは「スパイラル(らせん状)開発」の名のもとにシステム更新を制度化し、四半世紀にもわたって利益を提供する「軍事的公共事業」であり、日米軍産複合体の増殖をもたらすものです。
 「ミサイルにはミサイルを」という抑止論は、対立と緊張を恒久化させる時代遅れの代物です。MDではなく核・ミサイル軍縮こそが「費用対効果」の最も大きい代案です。
 イージス艦は日本海(東海)を「隔ての海」「戦争の海」にする最大級の「不審船」に他なりません。私たちは、イージス艦の日本海配備に強く反対するとともに、米政府に配備の即時撤回を要求します。それとともに、日本政府にもMD導入を即刻中止し、核・ミサイル軍縮の実効的なイニシアチブをとるよう求めるものです。そして、とりわけ寄港地として狙われる日本海側港湾を抱える自治体に対し、港湾管理権に基づきイージス艦の入港を勇気をもって拒否されるよう心から訴えます。

 2004年9月30日
              核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2004
                連絡先 (TEL・FAX)03-5711-6478

  ※ 当「キャンペーン2004」は首都圏の市民グループ、個人で作るゆるやか
    なネットワークです。今まで約4年にわたりミサイル防衛の導入に反対
    して市民レベルでのキャンペーン(講演会、リーフレット発行など)
    を続けてきています。

 [参考]呼びかけ団体
 核廃絶紅天狗、国連・憲法問題研究会、派兵チェック編集委員会、
  ピース・チェーン・リアクション、日韓民衆連帯全国ネットワーク、
 新しい反安保実[、グループ 武器をつくるな!売るな!、
 非核市民宣言運動・ヨコスカ、基地はいらない!女たちの全国ネット


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