攻撃軍への大転換=新「防衛計画の大綱」
      の白紙撤回を求める

 本日12月10日、今後10年の軍事力整備の基本方針となる新「防衛計画の大綱」(以下「新大綱」)とそれに基づく中期防衛力整備計画(以下「中期防」)が「閣議決定」された。私たちは一片の正当性なきこの決定に強く抗議するとともに、その白紙撤回を求める。
 新大綱と中期防はその内容以前に、決定プロセスにおける民主主義を著しく欠落させたものだ。内外の民衆の平和と安全を左右する一国の安全保障政策は、情報公開と民主主義にのっとり、文民統制(シビリアン・コントロール)の原則のもとで決定されなければならない。
 しかし、新大綱の「たたき台」は恣意的人選による小泉首相の単なる私的諮問機関によって策定された。そして、それに基づく新大綱づくりに関与できたのは、「与党」たる自民・公明両党と防衛・財務官僚のみであった。とどめは、国会承認という最低限の文民統制すら経ることのない「閣議決定」である。
 民主主義なき軍事が軍国主義に直結することは歴史の教訓である。その意味で、新大綱の決定は「主権者不在のクーデター」とも呼び得るものだ。
 さらに、内容においても到底認められない代物となっている。そこに貫かれているのは、民間人虐殺をはじめとする戦争犯罪を繰り返す「ならず者国家」米国による「対テロ戦争」への惜しみない参加と協力の姿勢だ。それゆえ戦争の効率化をめざす米軍再編に連動したものとなっている。
 恒久法制定による海外派兵の本来任務化は、イラク派兵延長の強行にも示されるように、国際法を無視した米国のグローバルな先制攻撃=侵略戦争への常連参戦国となることに道をひらく。
 ミサイル防衛(MD)導入と日米共同開発は、集団的自衛権に踏み込み米国の先制攻撃の敷居を下げるとともに、軍拡を誘発し、宇宙の軍事化に道をひらく。
 併せて、MDを突破口とする武器輸出解禁は、日本の軍民技術が米国の「軍事革命」(RMA)に組み込まれ、その殺人技術の高度化を支えるとともに、日米軍産複合体の更なる増長をもたらす。しかも、大綱本文への盛り込みを回避し「官房長官談話」という姑息な"解釈解禁"の手法によって兵器の国際共同開発や「対テロ」名目の輸出解禁にまで道をひらいたことは、私たちを欺くものだ。
 さらに中期防には、長射程ミサイルの研究開発こそ表向き先送りされたとはいえ、敵基地攻撃に不可欠とされる電子妨害装置の開発やC130輸送機への空中給油機能付加などが盛り込まれた。これらは、既に導入が始まったJDAM(GPS精密誘導爆弾)の能力強化も含めて、敵基地先制攻撃に公然と道をひらくものだ。もはや「専守防衛」原則は完全に放棄されたと言わざるを得ない。
 こうした大転換により浮かび上がるのは、「盾」と「矛」を備え「ミニ・アメリカ」化しながらアメリカと一体化する「攻防兼備国家」としての日本である。私たちは、こうした自衛隊の「多機能化」を図りながらの攻撃軍化を政府に委任した覚えは一切ない。憲法九条の明文改憲の動きも強まる中、新大綱は軍事の暴走を決定的に加速させようとしている。
 今、必要なのは新大綱とは百八十度異なる道、すなわち武力によらない紛争解決という困難ではあっても根本的かつ現実的な道を選び取ることだ。私たちは、巧妙に仕掛けられた軍拡のワナを断ち切り、絶えざる軍縮から非武装化に至るプロセスこそを探し出さなければならない。新大綱はそうした可能性に立ちはだかる最大級の妨害物であり、東北アジアひいては世界の人々の安全にとっての「脅威」そのものである。
 私たちはあらためて強く求める。政府は新大綱と中期防を今すぐ白紙撤回し、憲法九条の非武装理念の実現に向けた軍縮計画の大綱を作れ。

          2004年12月10日 核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2004
                     新しい反安保行動をつくる実行委員会(第9期)
                     グループ 武器をつくるな!売るな!


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