|
4月1日の、『迎撃』名目のミサイル防衛発動を許すな!4・1防衛省行動において、防衛大臣あてに提出した声明です。[転送・転載歓迎]
【声明】
緊張激化と憲法破壊のミサイル防衛発動をやめ、自衛隊を撤収させよ!
〜血税と9条を標的とした「迎撃ごっこ」の中止を求める〜
3月27日、麻生政権は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による「人
工衛星打ち上げ」に対して、「ミサイル防衛(MD)」を発動する「破壊
措置命令」を決定した。現場指揮官に迎撃権限を丸投げする「文民統制」
逸脱の命令を、浜田防衛相が発令し、空自PAC3部隊の首都圏展開及び
浜松から東北への移動展開が行われた。SM3搭載の海自イージス艦2隻
が日本海へ、非搭載1隻が太平洋へ展開した。米韓のイージス艦も展開し
ている。
自衛隊を戦後初めて戦闘準備態勢に入らせるこの措置は、歴史に大きな
禍根を残す重大な転回点になりかねない。MDが「平時」に戦時体制を持
ち込む危険な装置であることも実証された。
北朝鮮のロケット打ち上げは、北東アジアの軍事的緊張を高め、軍拡競
争を促進させる。私たちは北朝鮮に対して、打ち上げ中止を要求する。北
朝鮮は、宇宙条約加盟や事前通告など正規の手続きを整えてはいるが、核
開発に加えて長距離弾道ミサイル能力を獲得し対米交渉カードにすること
への懸念を払拭していない。「人工衛星」だと言うなら、ロケットを情報
公開すべきだ。
一方で、日米は、ロケット打ち上げを国連安保理決議違反だとしている
が、ミサイルと確認できない現段階で、宇宙条約で保証された宇宙開発の
権利まで制限することはできない。日本は、宇宙の軍事利用に踏み込む
「宇宙基本法」を制定し、軍事衛星増強に向かっている。米国は、宇宙の
軍事覇権に固執し、宇宙への兵器配備さえ視野に入れたMDを推進してい
る。日米に一方的に北朝鮮を非難する資格はない。とりわけ日本は、米国
でさえ「迎撃の用意はない」とする中、「潜在敵国の宇宙進出を軍事力に
よって阻止する」という2001年の米ラムズフェルド宇宙委員会のシナリオ
をなぞるかのような突出ぶりを見せている。
北東アジアで繰り返される「ミサイル危機」の根本原因は、在日米軍の
圧倒的な軍事力による北朝鮮や中国の包囲にある。トマホーク巡航ミサイ
ルの増強やMD配備のみならず、原子力空母ジョージ・ワシントンの横須
賀母港化や巡航ミサイル原潜オハイオの初寄港、F22ラプターの嘉手納配
備など、攻撃力の強化が続いている。日本も、イージス艦の増強やヘリ空
母就役、先制攻撃に使用可能なGPS誘導爆弾「JDAM」購入の継続な
ど、その攻撃性を進化させている。
さらに、今回のMD発動は全くデタラメな茶番劇である。PAC3の実
験は標的の飛翔距離が短い非現実的なものに過ぎず、ハワイ沖でのSM3
の実験は失敗した。そして、日本政府が想定する、打ち上げ失敗によるロ
ケットの突然の落下に対する迎撃は、当の米国さえ実験自体を実施してお
らず、到底不可能である。今回の発動の目的は、データ収集とMD作戦の
予行演習にある。
そして、MD発動の標的は、血税と憲法9条に据えられている。ここぞ
とばかりに自衛隊のプレゼンスを見せ付け、MDの正当性をアピールする
こと。さらに、戦時態勢に住民と自治体を動員することで憲法9条の足枷
を取り払い、日米軍需産業に巨大なMD利権を保証することが目論まれて
いる。これはまさしく、「憲法破壊命令」そのものだ。
私たちは、北東アジアにおける軍拡競争が宇宙へと拡大しかねない重大
な局面に立ち会っている。軍拡スパイラルからの脱却は、「ミサイル防衛」
ではなく「ミサイル軍縮」の先にしかあり得ない。自らが相手に与えてい
る脅威を自覚し、保有兵器を相互に削減していくアプローチを粘り強く探
る以外に、持続可能な平和に至る道はない。自衛隊ではなく、踏み込んだ
外交にこそ出番を与えるべき時だ。
米国のMDレーダーの建設候補地とされたチェコでは、市民の強力な運
動によって、受け入れ協定批准が停止され、親米政権自体が崩壊に追い込
まれた。私たちは、チェコの人々の努力に学びながら、MDからの撤退と
北東アジアの脱軍事化に向けた取組みを継続することを表明し、以下の通
り当事者に要求する。
- 北朝鮮政府は、
- 緊張を激化させるロケット打ち上げを中止し、宇宙開発計画の情報公開を行え。
- ミサイル発射実験と核・ミサイル開発を断念せよ。
- 米国政府は、
- MD配備を撤回し、トマホークの発射態勢を解除し、すべての先制攻撃兵器を撤去せよ。
- 「米軍再編」を中止し、核廃絶を行い、北東アジアから米軍を本国に撤収させ、縮小せよ。
- 日本政府は、
- 「破壊措置命令」を撤回し、自衛隊を即刻撤収させよ。
- PAC3のレーダー波の影響や発射時の爆風のガス成分などすべての情報を公開せよ。
- ミサイル防衛から撤退し、宇宙の軍事利用を放棄し、JDAMなど攻撃兵器を撤去せよ。
- 日米安保条約を破棄し、自衛隊を縮小・廃止せよ。
- 三者は、
- 韓国、中国、ロシアなどとともに六カ国協議などあらゆる機会を活用して、北東アジアの非核・非ミサイル地帯化に向けた外交努力を行え。
2009年4月1日 核とミサイル防衛にNO!キャンペーン 事務局
(連絡先)東京都大田区西蒲田6-5-15-7
|
2009年4月2日(木)更新
|
|