北朝鮮のロケット打ち上げに便乗した
ミサイル防衛発動に抗議します















 4月5日、北朝鮮によるロケット打ち上げ当日の午後に行われた、「迎撃」 名目のミサイル防衛発動を許すな!防衛省行動において提出した要請書 です。[転送・転載歓迎]

【要請書】防衛大臣 浜田靖一様

北朝鮮のロケット打ち上げに便乗したミサイル防衛発動に抗議します

 本日4月5日午前11時半頃、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は「人工衛星」打ち上げを掲げてロケットを発射しました。北東アジアの緊張を高める今回の打ち上げ中止を求めてきた私たちは、これに強く抗議します。

 一方で私たちは、浜田防衛相による「文民統制」原則逸脱の「破壊措置命令」によって、SM3搭載型を含む海自イージス艦3隻の展開と、空自PAC3部隊の東北、及び首都圏での実戦展開が行われたことにも強く抗議します。これは、アジア太平洋戦争後において初めての自衛隊による戦闘準備態勢=臨戦態勢への突入であり、憲法9条の枠組みを強引に突破しようとするものに他なりません。

 「憲法破壊命令」とも言うべきこの発令は、本来非公表にも関わらず、安全保障会議を事前に開き、PAC3の移動中や展開後の報道陣への公開など、大々的な宣伝が行われました。政府が、今回のロケット打ち上げを最大限に活用して、ミサイル防衛(MD)の正当性を印象づけようとしていることは明白です。その一方で、PAC3のレーダー波の影響や発射時の爆風のガス成分などのデータは隠されたままです。

 しかも、今回のMD発動は、嘘にまみれた情報操作に貫かれており、茶番劇そのものです。PAC3の「成功」とされた実験は、標的の飛翔距離が極めて短く、非現実的なものでした。また、最近のハワイ沖でのSM3の実験は失敗しています。そして、日本政府が想定する、打ち上げ失敗によるロケットの突然の落下に対する迎撃は、当の米国さえ実験自体を実施しておらず、到底不可能なものです。PAC3の移動展開と実戦態勢は、人々を欺く税金の無駄使いであり、巨大なMDの軍需利権を日米軍需産業に保証しようとするものです。

 そして、MD発動を通して、違憲の集団的自衛権行使に直結する、将来の米国向けミサイルの迎撃を視野に入れたデータ収集と予行演習が行われることも間違いありません。そこに、MD本来の目的である、米軍による先制攻撃に対する反撃を無力化するシナリオが隠されていることを見逃すことは出来ません。

 ミサイル防衛発動はむしろ緊張状態を恒常化させます。「ミサイル軍縮」こそが北東アジアの持続可能な平和を保障します。以下、要求します。
  • 自衛隊を即時撤収させ、発動に関する情報をすべて公開すること
  • 「破壊措置命令」発令とミサイル防衛発動を二度と行わないこと
  • ミサイル防衛から撤退し、北東アジアの非核・非ミサイル地帯化に努力すること
2009年4月5日
  核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
    大田区西蒲田6−5−15−7

2009年4月6日(月)更新