【要請書】税金無駄使いのPAC3ミサイル
実射訓練の中止を求めます














【要請書】

防衛大臣・林芳正様

税金無駄使いのPAC3ミサイル実射訓練の中止を求めます

 防衛省は、ミサイル防衛(MD)用迎撃ミサイルPAC3の初の実弾による迎撃実験を、9月15日からの週に行います。浜松基地の機材を、米国ニューメキシコ州ホワイトサンズ射場に持ち込み、米軍の協力を得て実施されます。模擬ミサイルを二発のPAC3で迎撃する実験の経費は、米国に支払う役務費も含めて約23億円に達します。

 政府は「純粋に防御的」「専守防衛にかなう」としてMD導入を正当化してきました。しかし、MDの本質は、相手の反撃を無力化することで先制攻撃をし易くするという点にあり、「先制攻撃促進装置」と言うべきものです。そのことは、東欧への米国のMD基地建設計画に対してロシアが強硬に反対し、MD基地を核攻撃の対象にすると威嚇したり、アラブ首長国連邦(UAE)が、米国またはイスラエルがイランの核施設を攻撃した場合に報復対象になることを恐れて、米国から約7500億円に及ぶ最新鋭迎撃ミサイルであるサード(THAAD)ミサイルの購入を求めていることなどに明らかです。

 そもそも、日本におけるPAC3の配備は極めてずさんなものです。それは納税者を欺く以下の「三重の詐欺」により成立しており、"偽装兵器"そのものです。

(1)「はじめに配備ありき」で性能確認は後回し

 性能確認試験という意味合いを持つ今回の実射訓練は、本来配備前に行われるべきものです。しかし、政府は「北朝鮮の脅威」を口実に計画を前倒し、07年3月から首都圏4基地と浜松基地へ次々と配備を強行してきました。米ブッシュ政権が採用した「スパイラル(らせん状)開発」――性能確認がなされずとも配備を先行させ、随時更新を繰り返す――という詐欺的手法をそっくり真似たのです。

(2)周辺国からのミサイルは想定外という隠された実験データ

 驚くべきことに、米国の国防情報センターが掲げている97年から07年にかけて行われたPAC3の29回の実験リストによれば、PAC3が「合格」したとされる実験は、射程300〜500kmの短距離戦術ミサイルや航空機を想定したものに過ぎません。日本政府がMDの対象とする北朝鮮や中国の弾道ミサイルはそもそも想定外なのです。

(3)実射訓練の放棄は「無用の長物」の証明

 防衛省は、性能確認試験以降、通常は配備後も毎年行っている兵器の実射訓練を「膨大な費用」を理由にMD用ミサイルに限って行わないとの方針を表明しています。これはつまり当てるつもりがないということです。「実射訓練しない武器」をそれでも保有するとは、防衛省自らMDが「無用の長物」であることを白状しているに等しいのです。

 貧困と環境破壊が拡大し、食糧危機が叫ばれるこの時代に、利権まみれの偽装兵器に血税を投入することは政府による犯罪です。実験中止とMDからの撤退を要求します。

2008年9月14日  核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
             大田区西蒲田6-5-15-7